Brand Story

2025/04/21 17:54

香を焚いて室内に香りを漂わせる空薫物(そらだきもの)。

ひとすじの紫煙が香炉から燻くあえかなその様は、

眺めているだけで心が凪ぎ、豊かでRitualなひとときをもたらしてくれます。


平安時代、貴族たちは部屋や着物、髪などに香を焚き染めるなど

仏のためのお香を人の世の愉しみに変えていきましたが、

貴族の間で発展した贅沢な香文化は、漆器・木地・陶磁器など、

多様な素材で製作され、様々な美しい工芸品を生み出す源にもなりました。


祥晃堂の薫珠®は、そうした古来から伝わる雅やかな愉しみを今に伝える吊香炉として高岡漆器を用い、青貝塗(青貝螺鈿)蒔絵で贅沢に彩った自慢の逸品です。


高岡漆器は、高岡塗と呼ばれる青貝塗勇助塗』『彫刻塗3つの技法がありますが、とりわけ華やかな青貝塗(青貝螺鈿)は高岡漆器の代名詞ともいえる技法。


鮑や夜光貝、蝶貝、孔雀貝などの青貝の光沢がある内側部分を薄さ0.1mmの厚みまで研磨し、菱形や三角形の細片をつくって組み合わせ花鳥風月や山水などを表現する繊細な青貝塗は、見る角度や光の反射の具合によって青から赤までホログラムのように色や輝き方が変化し、独特の美しい輝きを放ちます


一般的に貝を細工した装飾技法を総称である螺鈿は、約0.3mmの厚さの貝が使われますが、高岡漆器では透けるほどの薄い貝を使うことから、漆器に施すと下地の漆の色が透けて映り、まさに宝石のような独特の絢爛豪華な輝きに。


貝の裏側から着色(伏彩色)を施す技法もあり、鮮やかな色彩が舞い踊る箱物や茶道具、酒器は町人文化の中にしっかりと根づき栄えてきた高岡漆器の歴史を忍ばせます


また、高岡漆器を飾る蒔絵は、日本の伝統工芸を代表する技法の一つですが

400年以上の歴史を持つものづくりの街として歴史を紡いできた高岡は、多様な加飾技法を組み合わせた総合的な技術であることも特徴のひとつ。


木地師や塗師、青貝師、彫刻師、蒔絵師などの職人たちが制作工程にかかわる高岡漆器は、ひとつの漆器のなかにさまざまな匠の技が昇華した、まさに美の結晶なのです。


吊香炉 あえかな薫りに誘われる愉しみ

螺鈿細工、金蒔絵が彩る美しき空薫の世界

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