約70年前、茶と銅器の商いを始めた私たち祥晃堂の創業者、高木晃も
高岡の旧家に伝えられてきた吊香炉の美しさに魅せられ、
金工や漆芸、蒔絵、螺鈿、組み紐など日本工芸の粋を集めて、
余すところなく吊香炉に昇華させることを試みました。
しかし、志半ばで晃は逝去し、
未完の香炉は、装飾が施されることなく、木地の姿のまま眠ることに…。
それでも沸々と私たちの心のなかで消えることなく燃え続けていたのは、
ただひたすらに「高岡の美意識の結晶ともいえる吊香炉を後世に伝えたい」という
熱い想いでした。
そして30年後。
一度は潰えたかのように見えた吊香炉への想いは、
長い歳月を経て、ついに結実することになったのです。
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